魅力的な声質を手に入れよう
こんばんは、ボイストレーナーの金子です。
昨日、生徒さんのライブを見てきました。
その方は趣味でシンガーソングライターとして活動してるのですが
路上ライブをやると、いつも決まって彼が歌う駅前に人だかりができます。
そして昨日も同じように彼の周りを大勢の人が囲んでいました。
で、ぼんやりとそんな光景を眺めていると
彼の近くを素通りしようとした人たちが
ピタリと足を止めて彼の方向にゾロゾロ向かっていくんですよね。
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そう。彼の素晴らしい歌声は素通りするはずだった通行人の耳をグイグイと
引っ張って彼の元へ吸い寄せてしまうのです。
まるで甘い匂いに誘われるカブトムシのように
次から次へと人がわらわらと彼の元に集まってくるんですよ。
(街行く人たちはみんなaikoさんになっちゃったんですかね笑)
とはいえ、彼は特別目を引くような
高等テクニックを使うシンガーではありません。
高音も出すことはしないし、
ビブラートやフェイクも使いません。
もちろん、がなりやシャウトも使いません。
ただ自然体でゆるーく歌ってるだけなのです。
じゃあなぜそんなにも彼の歌声に多くの人たちが魅了されるのか?
それは彼の声質が魅力的だからなんですよ。
声質が魅力的なシンガーは一瞬で聴く人を惹きつけ、
声の虜にしてしまうのです。
「そんな大袈裟な〜」と思うかもですが、
声にはそれだけの威力があります。
メラビアンの法則って知ってますか?
人間がコミュニケーションをとるとき、
視覚情報(見た目)が55%、
言語情報(話す内容)が7%、
聴覚情報(声)が38%、
という割合で影響を与えているとする心理学上の法則です。
ちなみにこの聴覚情報の「声」に関していうと
低いトーンや明るいトーンなどの”声質”がほとんどを占めます。
つまり僕らが人間の印象を決める時、
実に全体の4割近くを声質で判断してるということです。
だからこそ声質が魅力的な人は、第一印象がすこぶる良いんですよ。
だからこそ他のスキルを磨くのはもちろんのこと
何より声質を最優先に磨いていってほしいと思ってます。
「とはいえ、生まれつき声質は決まってるから
変えられないんじゃないの?」
そんな意見もチラホラありますし、僕もよくもらいます。
ただこれはハッキリ断言しますが声質は後天的に変えられます。
信じられないかもですが
喉のポジションを変えることで、あっさりと人間の声質は変わるんですよ。
たとえば
喉を前上方向に動かせば、声はペラペラした子供みたいな声になるし、
前下に動かせば、オペラチックな深みのある声になります。
後ろ上に動かせば、
後ろ下に動かせば、クレヨンしんちゃんみたいな気持ち悪い太い声が出ます。
こんなふうに、喉のポジションを変えることで
ガラッと声質を変えることは簡単なんですね。
事実、喉のポジションを上手く変えて声質を変えている人はたくさんいます。
たとえばモノマネシンガーは、
あるアーティストの真似をするとき、自由自在に喉の位置を変えて
声質を近づけてます。
僕の好きなモノマネシンガーに青木隆治さんという方がいるのですが、
彼は神的に喉のポジションを操るのが上手く
どんなアーティストの声質もそっくりに再現してしています。
(ぜひググってみてください。)
あるいは
オペラ歌手もある意味で,喉のポジションを操って声質を変えてます。
全てのオペラ歌手が喉をガッツリと前下に動かして
太い、深みのある声質に変えているんですね。
歌手の元の声質は十人十色、人それぞれ違うはずなのに
(言い方悪いですけど)みんな同じような深みのある声に聞こえるのはこのためです。
こんなふうに喉のポジションを操れば
後天的に声質を変えることはできるわけでなんですね。
もちろん「オペラ歌手とかモノマネタレントみたいな
極端な声にしたくない」と思うひとも多いと思います。
でも今の喉の動かし方をベースにして声質を”微妙に”変えていく訓練を淡々とやっていけば、自然で
魅力的な声質にすることはできます。
喉のポジションを少し変えれば、オリジナリティを保てる範囲で
ほんのり声を変えることもできるし、
ガッツリ動かせば、モノマネレベルで声を変えることもできる。
ただそれだけの話なんです。
声質は最重要レベルなので、ぜひ安心して磨いていきましょう。
逆に声質を磨かないと、昔の僕のように悲惨なことになりますからね。w
僕の場合、声質がどんなに重要か知らなかったので
他のスキルのレベルはどんどん上がるけど歌自体はド下手。
といった悲惨な状態がずっと続いてました。
声質が他の全ての技術を台無しにして歌唱力がポンコツ化してたんですね。
高音も出る。
声量もある。
音程も取れる。
でも声は志村。
はい、最後ので全部台無しですね。w
カラオケで友人の前で歌っても
「高音も出るし音程も合ってるけど、声が悪いから歌が上手く聞こえないよね」
と言われることがあったくらいです。
これならロボットが正確に歌った方が1000倍マシじゃないですか。
人間の歌声が魅力的に感じるのは、人それぞれの魅力的な声質があってこそなんですね。
当時、僕は歌唱力さえ高めてしまえば魅力的な歌声に聴こえると思ってしまって
いました。
だから歌が歌唱力を高めるスキルを徹底的に訓練してたんです。
ミックス発声をトコトン磨いたり、ベルティングを研究したり、
あるいはビブラートの練習をしたり、声量の改善を試みたりと、
目に見えて歌の上達が分かるスキルをピカピカに磨くことに
たっぷりと力を注いでたんですね。
でもだからこそ
いつまで経っても人の印象を大きく左右する声質が磨かれず、
周りからの評価も散々だったのです。
声質って家の玄関みたいなものなんですよ。
どんなに家の中が綺麗だとしても
玄関の前が汚かったら
家の中に入りたいとは思いませんよね。
歌もそれと同じです。
人が歌を聴くとき、まず
「声質」という名の玄関でその人に興味を持ちます。
そして“その後に”家の中の物、歌で言えば
高音だったり、声量だったり
歌い回しだったり。。
そういった細かいスキルに興味を持つんですね。
だから声質が魅力的でないと
高音も声量も音程も全てのスキルがダメに見えてくるので
歌が一気に下手に聴こえるというわけです。
実際、僕は声質の大切さに気づいて
声質を磨くようにしたら
一気に歌唱力を評価されることがぐんぐん増えていきました。
結局 歌は声質ありきなんだなあと実感しましたね。笑
その上で、初めて他のスキルが生きてくるのだと。
僕程度のスキルでもそう思ったのだから、
皆さんが声質を磨いていけばもっともっと活躍できるはずです。
話があっちこっち飛んでしまいましたが
ぜひ僕の二の舞にならないように、魅力的な声質を目指して頑張っていきましょう。^^
それでは、ありがとうございました。