“慣れ”の恐怖

 

 

こんばんは、ボイストレーナーの金子です。

 

 

ボイトレを「自分の声が好きになった」と言ってました。

 

 

 

こういうのいいですよね。

 

ボイトレをしたことで、自分の声に自信を持てるようになるのって

 

最高だと思います。

 

 

 

ただ、その一方で彼はあることに悩んでました。

 

 

 

詳しく聞いていくと、

 

友達には「歌上手いね」とか「いい声だね」と褒められるのに、

 

 

 

Youtubeに動画を上げると、再生数も少ないのに

 

批判が相次ぐのだそうです。

 

 

 

さっそく彼のチャンネルを見せてもらうと、確かに彼の動画のコメント欄には

 

「下手すぎ」「声がブサイク」など、辛辣なコメントが見つかりました。

 

 

 

まあ酷いこと言う人たちがいるもんだな…と思いながら

 

動画を再生し、彼の今の歌声を確認したとき、僕の中で全てがつながりました。

 

 

 

 

というのは非常に残念なことに、彼の声質は改善していなかったのです。

 

それどころか客観的に見たら、以前よりも悪化してました。

 

 

 

彼の承諾を得ているのでハッキリ言うと

 

喉を下げて、声を鼻に無理やりかけたようなイケボ崩れみたいな声になってしまってたのです。

 

 

 

「イケボ系声優を拗らせたような、幼くて女々しい声。」

 

今の彼は、昔の自分の声をこう評価してます。

 

 

 

もちろんそんな歌声でも

 

彼の周りにいた優しい友達なら、内心「下手だな」とは思っても、「上手いね」とお世辞を言って

 

くれたんだと思います。

 

 

 

でもYoutubeの世界は正直な評価なので、いつまで経っても再生数は二桁、

 

そして何より酷いコメントで溢れかえっていたんです。

 

 

 

やっぱり、この彼の一件から分かる通り、人は自分の声に聴き慣れるんですよね。

 

 

 

何度も何度も録音した自分の歌声を聴いているうちに、自分の声に慣れてしまうのです。

 

これは自分の顔に見慣れるのと同じですね。

 

 

 

たとえば自分の顔がどんなに嫌いだとしても、

 

風呂上がりとかに毎日鏡で自分の顔を見ているうちに、さすがに

 

段々と自分の顔を見慣れてくるじゃないですか。w

 

 

 

人によっては、

 

「あれ?今日の俺は珍しくちょっとイケてるかも?」なんて思う日もあるんじゃないですかね?笑

 

 

 

 

こんなふうに、特に顔は変化してないのに、毎日毎日自分の顔を見ていくうちに、

 

自分の顔がマシに見えてくるわけです。

 

 

 

 

ちなみに、こんなことが起こるのは

 

 

単純接触効果(ザイオンス効果)と言って、何度も同じ対象と繰り返し接していると、その対象に

 

好意を抱きやすくなるという生まれつき人間に備わっている性質があるからです。

 

 

 

 

もちろん、これのおかげで自己肯定感は上がって自分のこと好きになったりと、いい面もあります。

 

 

でも逆に言えば、自分のことを客観的に見れてない状態とも言えるんですよね。

 

 

 

 

事実、僕は鏡を見て「あ、今日いつもよりちょっとイケメンだわ!」と思っても、

 

 

 

いざ写真を撮られたとき、自分が写った写真を見ると、ジャガイモみたいな顔したおぞましい顔が

 

そこにはあって、、

 

なんじゃこりゃあああああああああああ!!!!

 

 

 

みたいな惨劇が人生の中で5000万回ほど起こります。

 

 

なぜこんなことが起きるかというと、

 

鏡に映る自分の顔は、実際の姿と左右逆の顔が映し出されるからです。

 

 

 

僕らは普段の生活の中で、

 

窓、鏡、画面などの左右逆に映し出された自分の顔を多く見ているはずです。

 

 

 

だからいつも見慣れていない左右反転してない実際の顔(写真の顔)に対して、

 

嫌悪感を抱きやすいわけです。

 

 

 

(まあ僕の場合は、普通にブスというのもありますけどね。w)

 

 

 

で、話を戻すと、当然声にもザイオンス効果は発動するのです。

 

毎日毎日自分の声を聴いているうちに、次第に自分の声が本当に良くなったと錯覚するのです。

 

 

 

早い話、自分の歌声に“愛着”が湧けですね。

 

 

 

これ、一般的には「自分の歌声を好きになれる」的にいい事のように言われてますけど、

 

冷静に考えるとかなりヤバい事です。

 

 

 

だって、自分の声は1mmもよくなってないのに、

 

(むしろ大抵の場合、変にこねくり回して気持ち悪い声質になっていることが多い)

 

“自分だけ”が声が良くなった!と思い込んでしまうので、

 

 

 

そもそも、声を改善しよう!という気持ちにならないんです。

 

 

 

これ、実は僕も経験したから分かるんですけど、当の本人は本当に「自分の声は結構イケてる」と

 

信じ込んでるんですよ。

 

 

 

たとえば僕は元々が鼻声で、そこから喉をこねくり回して

 

声楽チックなわざとらしい太い声質になっただけなのに、

 

 

 

自分では自然で深みがあってイケボ系な声だと信じてましたからね。w

 

 

 

友人に指摘されるまで、それをずっと疑うこともありませんでした。

 

 

 

つまりこれは、例のザイオンス効果が発動して、自分の声が魅力的だと勘違いしてしまってたから起きたことです。

 

 

 

だから何が言いたいかというと、僕らは自分の歌声を客観的に評価していきましょう。

 

ということです。

 

 

 

もちろん、ドストレートに正直な感想を言ってくれる友人や、トレーナーがいればそれは素晴らしいです。

 

 

 

でもなかなか、僕らの周りには

 

お世辞を言ってくれる人が多くて、自分の歌声を正直に評価してくれる人も少ないです。

 

 

 

そんな時におすすめしたいのは、録音した歌声を日にちを空けて聴いてみることです。

 

 

 

たとえば今日歌声を録音して歌声を聴いたら、次にその音声を聴き直すのは3ヶ月後〜にするのです。

 

 

 

するとザイオンス効果、つまり自分の声への愛着が薄れた状態で自分の声を聴くことになるので

 

驚くほど自分の歌声を客観的に分析できます。

 

 

 

「うわー、こんなに声が平べったいのか、、」とか、

 

「絶妙な変な歌い回しが、震えるほど気持ち悪い…」とか、

 

 

 

本当に、第三者の視点に立って他人の歌声を評価するような感覚になるんです。

 

 

 

たぶんこれでほとんどの人が立ち直れないほどのショックを受けることになると思いますが、それ

 

が本来の自分の歌声なので向き合うしかありません。

 

 

 

そこでプライドを捨てて自分の声を受け入れられる人たちは、あとはどうすれば声が良くな

 

るか分かってくるので、本当の意味で理想的な声を手に入れることができます。

 

 

 

逆に「いや、自分の声がイケてないはずがない!」とプライドを捨てきれない人たちは、

 

いつまで経っても周囲のお世辞に気づかないまま、自分だけが勘違いし続ける道を歩み続けること

 

になりますからね。。

 

 

 

もちろん、頑張って自分の声を磨いてきた時間を否定したくない気持ちは分かるんですけどね。汗

 

 

僕もそうでしたし。

 

 

でもそこを乗り越えてこそ、次があります。

 

 

一緒に本当の自分の声を客観視し、魅力的な歌声を手に入れていきましょう!

 

 

それではありがとうございました。

 

 

追伸

 

逆に、「今自分の声に自信がない」と悩んでいる人たちは、おそらく自分の歌声をかなり客観的に見れていると思います。

 

昔の僕みたいな勘違い野郎より、よほど早く成長する素質があるので落ち込まず淡々とボイトレしていきましょう^^