地声感が死ぬケース

 

 

こんばんは、ボイストレーナーの金子です。

 

 

昨日は、ベルティングを習得するための全体像を

 

お話ししました。

 

 

身体全体のつながりを整えて、喉を自由にしていく。

 

 

それこそがベルティングに必要な能力だ

 

といったお話をさせてもらいましたね。

 

 

 

今回もかなりの質問や反応をもらったのですが、もしまだ昨日のメールを読んでいない方がいたら、

ぜひ読んでおいてくださいね。^^

 

 

 

話を戻すと、今日始めてレッスンに来てくれた方から、

 

「ベルティングは、ミックスボイスを極めてから

 

やるのがいいですよね?」

 

と質問をいただきました。

 

 

そしてそれを聞いた時、

 

僕は、背筋を氷が伝うようなゾッとした感覚に襲われました。

 

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というのも、

 

ミックスボイスとベルティングボイスは

 

バランスよく訓練していくべきだからです。

 

 

 

最初にミックスボイスに偏りすぎてもいけないし、

 

ベルティングボイスに偏りすぎてもいけない。

 

 

適切なタイミングで、ミックスとベルティングをバランスよく鍛えあげていくことが

 

ボイトレの要です。

 

 

というのも、ミックスボイスの訓練に集中すると

 

地声感が失われるからなんですね。

 

 

そして、その失われた地声感を後から取り戻すのは”不可能”

 

だからです。

 

 

ここでちょっと考えて欲しいのが、

 

ミックスボイスを習得する = 地声と裏声の筋肉を上手に入れ替える

 

ということです。

 

 

ただ、これは言い換えれば

 

地声を弱めることによって、裏声が入り込むスペースを確保している

 

そんなイメージなんですよね。

 

 

だからこそ、ミックスボイスの精度を極めることは、

 

 

よく言えば、地声と裏声をバランスよく使うことですが、

 

 

悪く言えば、

 

地声の筋肉(TA)を弱め続けること

 

と同義なのです。

 

 

 

そして、この地声感を作り出している筋肉を“内筋”(ないきん)と呼びますが、

 

 

ミックスボイスを徹底的に訓練して、地声感が死ぬことを

 

この業界では

 

“内筋が死ぬ”と言われています。

 

 

 

実際、知り合いのボイストレーナーで、

 

内筋が死んでしまった方を知っています。

 

 

ちょうど昨日、彼と会って話したときも、

 

 

「いくら地声系のエクササイズやっても

 

無駄や。もう地声感戻らんわ。完全に手遅れ。」

 

 

そう言って、頭を抱えていました。

 

 

そして、

 

「注意喚起に俺の音源使ってくれ。」

 

音源をもらったのです。

 

 

それを聴いて、驚愕しました。

 

 

完全に内筋が死んで、

 

裏声感の強い声になってしまっているのです。

 

 

彼に許可をもらっているので、

 

ここで彼の歌声を共有しますね。

 

 

【音源】

 

 

 

どうでしょうか。

 

知り合いなので、本当に気の毒ですが、

 

明らかに地声感が欠如してしまっています。

 

 

トレーナーされている方は分かると思いますが、

 

正直、言葉も出ないほどに

 

発声が悪化しています。

 

 

 

なんでこんなことになる前に

 

彼に真理を伝えられなかったんだろうか。

 

 

どうしてもそう思わずにはいられません。

 

 

彼は努力家でした。

 

 

週に1回のレッスンに欠かさず通うのは当たり前、

 

くる日もくる日も、会社から帰ってきては

 

眠い目をこすって、ボイトレを続けていたようです。

 

 

 

もちろん、ボイストレーナーとして独立してからも

 

そのスタイルは変わりませんでした。

 

 

それも10年以上。

 

 

その結果、

 

“内筋が死んだ弱々しいミックスボイス”

 

が彼の元に残ったわけです。

 

 

そんなの、あまりに残酷すぎると思うのです。

 

 

 

実際、彼がミックスだけを強化する危険性に気づいていたら、

 

どうなっていたのだろう…と考えることがあります。

 

 

 

彼は、学生時代からMr.Childrenの桜井さんの声に憧れていました。

 

 

 

「地声で高音を引っ張っているような、あのなんとも言えない感じが好きなんだ!」

 

ニッコリ笑って話してくれたのは、

 

7年くらい前のことだったと思います。

 

 

その時の彼の嬉しそうな顔を思い出すと、

 

胸が締め付けられます。

 

 

実際、彼が内筋を生かせるようにベルティングを学び始めていたら、

 

まず間違いなく、今頃はパワフルな地声感のある声で歌えていたでしょう。

 

 

 

ボイストレーナーとしてレッスンをしていても、

 

「それって裏声ですか?それがミックスボイスなんですか?」

 

などと、傷つくような質問を生徒さんから

 

投げかけられることもなかったと思います。

 

 

正直、こんなことになるくらいなら、

 

気軽に相談してくれたらよかったのにな‥と思ってしまいます。

 

 

そうしたら、

 

「今すぐでもベルティングの基礎を学ぼう。内筋入れようよ」

 

と伝えられたはずなのになと。

 

 

何もしてあげられなかった自分が悔しいです。気づけなかった自分が本当に憎いです。

 

 

だからこそ、声を大にして伝えたいのです。

 

 

ミックスボイスとベルティングボイスは

 

早い段階からバランスよく訓練していくべきだと。

 

 

 

最初にミックスボイスに偏りすぎてもいけないし、

 

ベルティングボイスに偏りすぎてもいけない。

 

 

 

適切なタイミングで、ミックスとベルティングをバランスよく鍛えあげて、

 

内筋が死なないように、パワフルな高音を作り上げていく。

 

 

 

これこそが、ライブやカラオケなどの実戦で使える

 

パワフルな張りのある声を作り出す肝なのです。

 

 

 

確かに、ボイトレはいつから始めても効果を見込める素晴らしいものです。

 

きちんと手順を踏んでトレーニングをしていけば、まず間違いなく

 

喉の機能は高まり、歌唱力は上がっていきます。

 

 

 

ただ、それと同時に

 

どんな策を講じても、後からでは

 

取り返しがつかないこともあるのです。

 

これ自体は事実です。

 

 

ミックスボイスを完璧にしようと思うばかり、足をすくわれる方が

 

ひとりでも減れば嬉しく思います。

 

 

ありがとうございました。

 

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