間一髪でベルティングに救われた男

 

 

こんばんは、ボイストレーナーの金子です。

 

 

 

どうも高音が裏声っぽいことに悩んでいて。

 

 

ただそれでも「地声感が足りないのはミックスの質が低いからだ!」

 

と自分に言い聞かせて、ひたすらミックスボイスを完璧にしていたんですね。

 

 

 

ただ、これはもうわかると思いますが、

 

超がつく危険行為なんですよ。

 

 

 

なぜなら、ミックスボイスを極めたあとからでは

 

ベルティングを習得することはほぼ不可能だからです。

 

 

 

ミックスボイスを習得すること=地声の筋肉である「内筋」を殺すこと

 

でしたね。

 

 

 

言い換えれば、ミックスボイスを極めると言うことは、

 

どんどん地声感を削り取っているのと同じなのです。

 

 

 

でもそんな知識のなかった彼は

 

「まだ自分にはベルティングは早いな…」と言いながら、ひたすら

 

基礎固めと称してミックスボイスの練習をやっていたわけです。

 

 

 

だからこそ、僕は全力で彼を止めました。

 

 

「ミックスボイスとベルティングボイスは

 

同時並行で訓練していかないとダメです!!

 

ミックスボイスを習得してからベルティングは習得できません!!」

 

 

と叫んだのを覚えてます。

 

 

 

僕は嫌われるのを覚悟で止めたのですが、

 

彼は僕のアドバイスを素直に受け入れてくれて、

 

 

 

ベルティングの練習を始めてくれました。

 

 

 

それからと言うものの、今までの彼の停滞期が嘘だったみたいに、

 

地声感が出始めました。

 

 

 

裏声の最高音まで

 

地声のままパワフルな高音を出せるようになって、

 

 

 

マイクなしでもライブ会場に響き渡る爆発的な声量も手に入り、

 

そしてそれは聴く人の心を打ち抜く素晴らしい歌声になっていきました。

 

 

 

ベルティングを習得したことで、

 

彼のすべてのスキルがグッと底上げされた感覚ですね。

 

 

 

彼も非常に喜んでくれていて、僕も嬉しい限りです。

 

 

 

ただ、もし彼があのとき

 

僕のアドバイスを無視していたら、

 

今頃相当ヤバいことになっていたとも思います。正直。

 

 

 

 

間違いなく、あのままいってたら

 

内筋は死んでたので、今でも裏声に毛が生えたようなヘロヘロしたミックスボイスのまま

 

だったと思います。

 

 

 

毎日毎日、練習しても報われない。ずっと裏声みたいな高音のまま。

 

 

 

そして、いざベルティングの練習を始めようと思っても、もう手遅れなわけで。

 

生涯にわたり、裏声みたいな声と付き合っていかないといけません。

 

 

 

そんなの酷すぎる話だと思うんです。

 

 

 

だからこそミックスボイスの練習を始める段階で、

 

ベルティングの練習にも着手してほしいんです。

 

 

 

どうか、適切な判断をしてくれることを願ってます。