“ボイトレの停滞期”を抜け出した話
こんばんは、ボイストレーナーの金子です。
僕はこれまでボイトレをやってきた中で、実力が伸び悩む
“ボイトレの停滞期”のようなものを経験しています。
たとえば音域ですね。
それまでグングン伸びていた音域が、伸び悩んだ時期があったんです。
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先生に習い始めてから
hiA#くらいまではあっさり出せるようになったのはよかったんですけど。
そこからピタッと音域が伸び悩んじゃって。
あれこれと、いろんなことを試しても音域が1mmも伸びない時期があったんです。
で、これはなぜなのか？と考えたときに、
理由はハッキリしてたんですね。
答えはシンプルで、ある程度ボイトレが上手くいったことで、
自分に自惚れ始めたからです。
早い話、ちょっと上手くいったから調子に乗り始めたんですよ。w
分かりやすいところで言うと、
先生の教えを今までほどは素直に守らなくなっていましたね。
たとえば、
四六時中、ラジオのように聴いてた先生のトレーニング音声を
だんだん聴かなくなっていきました。
次第にトレーニングの注意点を確認することも少なくなっていきました。
いろんな書籍や動画のトレーニングを
次から次へと試しては、勝手に先生のメニューに取り入れてみるようにもなりました。
極めつけには、先生のレッスンを受ける回数もどんどん減っていって
３週間くらいレッスンを受けないこともあったくらいです。
自分なりに試行錯誤した方がトレーニングの効果が上がるんじゃないか？
ある程度歌が上手くなってきたから、自分流のやり方でいけるんじゃないか？
そんな自分の小さなプライドが少しずつ少しずつ
ニョキニョキと顔を出してきたわけです。
そしてそんなふうに
自分勝手に好き放題ボイトレをやった結果が、
冒頭で話した無様な有様なのです。w
（お恥ずかしい。。）
ホント、いきなり音域の伸びがストップして
しかも、高音がどんどん苦しくなりはじめましたからね。
本当に青ざめましたよ。
今までの努力が全部水の泡になるところでした。めちゃくちゃ怖かったです。
そしてこのとき、
たとえきちんと発声を習った経験があっても、自己流に陥ると
失敗するんだな、と
改めて勉強になりましたね。
基本的に、優秀なトレーナーたちって
めちゃくちゃ生徒さんの声のバランスを考えてメニューを組んでますからね。
たとえば、地声に比べて裏声が弱い人には
裏声を強化するメニューを組むし、
その逆なら地声を強化するメニューを組みます。
喉が上がっている人には、喉を下げるメニューを。
下がっている人には、上げるメニューを。
そんなふうに、生徒さん一人一人の発声の状態に
ピッタリ合うように、よくバランスを考えて
メニューを処方しているわけなんですね。
だから僕は、先生がバランスよく考えてくれた
メニューに従っているだけで
どんどん音域を伸ばせてこれていたわけです。
それなのに僕の場合、元々アホみたいにプライドが高かったので、
自分の実力で歌が上手くなったと勘違いしたんですよ。
だから
「やっぱり自分で試行錯誤した方が効率いいんじゃない？」
という昔の自信（？）が復活し、
自己流に戻りかけたのです。笑
あれだけ独学時代に
自己流で失敗し続けて懲りたはずなのに、です。w
たとえば
レッスンを休んでいる時間を使って、いろんなことを自分で
考えながら試してました。
先生に教えてもらったトレーニング以外の
トレーニングをあれこれと勝手に取り入れたり、
トレーニングのやり方を自分で研究し出したり。
つまり、色々と試行錯誤し始めたんです。
もっと、喉を下げた方が高音が出しやすくなるんじゃないか？
とか、
この本のトレーニングは、裏声の高音に効果がありそうだから、ちょっと試してみようかな？
とか。
今思えば、なんでお前がトレーニング内容決めてんだよ！w
って話なのですが、
そのときは必死にあれこれ試してやってましたね。
ようは、トレーニングメニューを金子色にカスタマイズしてしまってたのです。
その結果、
せっかく先生が組んでくれたメニューのバランスは一気にガラガラと崩壊していきました。
そりゃもう、成長が止まるのも当たり前ですよね。笑
これじゃもはや
Youtubeとボイトレ本片手に
独学で練習してた以前の僕と全く同じ状態です。
独学で上手くいくのはセンスのある一握りの人しかいない
と言われている中で、
そりゃ凡人の僕が上手くなるはずがなかったんです。
だから今思えば、せっかく先生に習ってたのに
本当にもったいないことしたな…と猛反省してます。汗
もちろん、２、３回練習したらどんなスキルでも割と形になっちゃうような
バケモン級の天才なら、
全然自己流でもいいと思うんですけどね。
（むしろ天才の場合は自己流の方が効率がいい可能性あり）
でも、僕って天才どころか元々は平均以下のポンコツですからね。
天才と同じように自己流でゴリゴリ練習やったってダメなわけです。
そもそも自己流で上手くいってるなら、最初から先生に習ってないわけで。
自己流で上手くいかなかったから、先生に習い始めたわけです。
そのことを忘れて、調子こいて
“自分の実力で上手くなった”と勘違いしてた
時のことを思い出すと、顔から火が出るくらい恥ずかしいです。
話を戻すと、そんな苦い出来事があってからは、
胸を張って「僕は超上級者だああ！」と叫べるその日が来るまで
自己流は封印しようと心に誓いました。
そして、その心構えは今でも変わってません。
もちろん、今でも先生にちゃんとついて
週１でレッスンを受け続けているし、
先生に教えてもらったトレーニングの内容、注意点、休憩時間、順番、
など、先生の指導方針は
素直に全部まるっと真似してます。
もちろん、先生のトレーニングを勝手に改造することもなくなりました。w
勝手に他のトレーニングと組み合わせて、先生のメニューの効果を無効化するような
リスキーなこともしなくなりました。
自分で言うのもなんですが、めちゃくちゃ素直になって、
本当の意味で自己流を捨てられるようになったと思います。
そしてその結果、
スランプを抜け出して、どんどん歌唱力を高めることができるようになったんです。
もしあのとき先生のレッスンを辞めて
自己流に戻ってたら、かなり危なかったなと思いますね。
だって、また昔の僕みたいに
Youtubeやボイトレ本のトレーニングを漁っては、
間違った組み合わせでトレーニングメニューを組んでたと思います。
喉を下げなきゃいけないのに、喉を上げるトレーニングを組んでみたり。
地声を鍛えなきゃいけないのに、裏声を鍛えてみたり。
薬で例えれば、
胃が痛いのに頭痛薬を飲んで、
頭が痛いのに腰に湿布を貼る、、
そんな努力が報われないボイトレをすることになってたと思います。
そして間違ったトレーニングの組み方をすれば
毎日毎日トレーニングをするたびに、
気づかないうちに声を悪化させていき、
数年後にはほとんどまともに歌える曲がなくなっていたでしょう。
そうなれば、どんどん自信もなくなるし、歌うことも諦めてたと思うんですよ。
そう思うと、あのとき自己流を捨てて
先生から習う道に戻っていて本当によかったと思います。
色々失敗してわかりましたが、
やっぱり、天才以外は自己流は向かないみたいですね。
今回の話がちょっとでも参考になればと思ってます。
それでは、ありがとうございました。
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